会社として毎年発生する年次業務。この時期は特別徴収住民税額の更新等、一苦労な業務がてんこ盛りです。

特に今年はコロナウィルスの影響で通常の会社運営もままならない状態である事が容易に想像されます。それでも、毎年会社として行わなければならない業務は待ってはくれません。

今回は労働保険の年度更新についてご説明したいと思います。特に今年は、通常の毎年の申告期限よりも後ろに伸びています。その点も含め、そもそも年度更新とはなんぞや、という部分からお話したいと思います。

 

1.そもそも労働保険、年度更新ってなに?

1-1.労働保険ってなに?

労働保険とは、雇用保険と労働者災害補償保険(以降、労災保険とする)とを総称した言葉です。

労働保険は、一部の事業を除き、労働者を一人でも雇っていれば適用事業となりますので、事業主は加入手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。

この労働保険料は毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっています。

 

1-2.年度更新ってなに?

上述の保険料は保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算します。

例として、今年は労働保険料が10万円になりそうだと計算(これを概算保険料といいます)をしたら10万円を納付し、最終的に確定した賃金で計算(これを確定保険料といいます)したところ12万円だったという事がわかったら2万円分を追加で納付する。逆に8万円だったという事がわかったら2万円還付してもらう。そのような事を毎年行うという事になります。

つまり、前年度の概算保険料と確定保険料の差額を計算して追納(または還付)し、今年度の概算保険料を計算することが必要になります。この事を労働保険の年度更新と呼び、毎年行うことになります。

 

2.年度更新をするにあたって

労働保険も年度更新もわかった。じゃあ具体的にどうすればいいの、という事になると思います。

6月までに届く申告書に従って内容を記載し届け出を出すだけ、といえば簡単そうに聞こえるかもしれませんが計算方法を間違ってしまったりそもそも何を記載すればよいかわからない…そんな声も多いかもしれません。

全てをご説明するのは難しいので、気を付けるべきポイントや例年とは違う箇所、またこうしたほうが良いという部分に限ってご説明をしたいと思います。

 

2-1.今年の申告期間は6月1日~8月31日まで!

例年、6月1日~7月10日までが期間として設定されますが今年はコロナウィルスの影響により申告期限が8月31日まで延長されることになりました。

またそれだけでなく事業収入の減少(前年の同期に比べ概ね20%以上の減少)があった場合には労働保険料の納付の1年間の猶予等、通常とは違う運用になるとのことです。厚生労働省より「令和2年厚生労働省告示第207号」として告示されております。リーフレットも出ておりますのでご参照ください。
※厚生労働省のHPに飛びます
労働保険の年度更新期間の延長について(リーフレット)

 

2-2.労災保険と雇用保険の対象者は同じではない、また64歳以上についても要注意!

労働保険料(雇用保険料・労災保険料)の計算方法は対象の労働者に4月~翌3月までに支払った賃金にそれぞれ雇用保険率、労災保険率をかけて計算をします。

しかし、すべての労働者に支払った賃金で計算してしまうのは間違いになるかもしれません。

労働者として事業に使用される者で賃金を支払われる者については原則労災保険の対象となりますが、雇用保険については一部対象外になる方がいます。雇用保険に加入をしていないパート、アルバイトの方の賃金は除外されます。

また例年、保険年度の初日(4月1日)において満64才以上の労働者については、一般保険料のうち雇用保険に相当する保険料が免除されていましたが、こちらも令和2年4月1日より免除が無くなっていますので、保険年度の初日に64歳以上であったとしても今年の概算保険料の計算基礎には含まないといけなくなります。(同時に、令和2年4月1日以降、該当の従業員の方から雇用保険料の徴収をしなければなりませんのでもし万が一忘れているかも知れない、という場合は確認してください。)

 

また他に気を付けるべきポイントとしては

  • 出向者の扱い
  • 遡及して雇用保険加入、喪失した人がいる場合
  • 賞与の支給がある場合
  • 期の途中から役員や兼務役員就任の場合

他にもございますが、まずはイレギュラーな方がいらっしゃるかどうかを確認し、その場合はどうすればよいのかを一点ずつ確認するのが間違わないポイントになります。

 

2-3.電子申請が便利(一部は義務化)

紙によって提出しなければならないわけではなく、電子申請でも労働保険の年度更新は行うことが出来ます。

一回目は何かと面倒くさいと思われるかもしれませんが、翌年からは前年と同じ情報の入力を省けたり(以前の情報から呼び出してくれます)一定のエラーチェックを申請前に行ってくれます。毎年手書きで行うことを考えれば電子申請に乗り換えてしまうのも一つの手かもしれません。

 

2020年4月より特定の法人については電子申請が義務化されているので「しなくてはならない」という事項に当たりますが、今後この電子申請義務化の範囲が拡大することはほぼ間違いなく、今は対象外でもいずれは電子申請を行わなくてはならなくなると考えられます。

やらなくてはいけなくなった時にあたふたするよりも、今のうちから徐々に慣れていくほうがよほどスムーズでしょう。

 

また、厚生労働省のHPには年度更新申告書計算支援ツールとしてエクセルの書式が公開されております。電子申請する際に、どこに何を入力すればよいかもイメージとして出してくれるツールになっていますので、初めてで分かりにくいという場合は是非こちらを参考にされる事をお勧めいたします。

※厚生労働省のHPに飛びます
労働保険関係各種様式ページ

 

3.まとめ

通常の生活もままならない状況でも、会社の運営に待ったはかかりません。

労働保険の年度更新も期限が延長されたとは言え、余裕を持てるところは少ないはずです。年次業務としてはこの後算定基礎届の提出もあり、ただでさえ混乱しているにも関わらず素早い対応が求められています。

今まではすべて内製で行っていたこういった年次業務もアウトソースをすれば余裕が出てくることもあります。

 

上記の年度更新ももちろん、その他の業務でも不明点やご依頼がございましたら弊社人事部サポートSRまでお気軽にお問い合わせください。